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ウィルスバスターのシステム開発

このテクノロジーの基礎になっているのは、「人気のあるホームページからリンクが張られているページは良いホームページ」という考え方だ。
たとえばヤフーに紹介文が載っているようなホームページだったら、個人のページであってもかなり信頼度は高いと言える。
逆にどこかの会社の公式ホームページであったとしても、インチキなオンラインカジノやポルノサイトからしかリンクが張られていないと、「この会社は何だか胡散臭いな」と判断されてしまうことになる。
もちろん従来からあった検索エンジンも、リンクの数は考慮に入れていた。
「たくさんリンクされている方が良いホームページ」という判断基準をアルゴリズムの中に持っていた。
ところがこの考え方を逆手にとって、アルゴリズムクラッカーたちは「リンクファーム」という手口を考え出した。
中身の何もないホームページを大量に作って、これらのページからポルノサイトやカジノサイトへのリンクを張ったのだ。
この手口を使うことでポルノ・カジノサイトは見かけ上は、数多くのリンクが張られているように見え、素朴な検索エンジンはころりと騙されてしまったのである。
だがグーグルの考えたページランクテクノロジーは、リンク元がヤフーやMSNなどきちんとしたサイトでなければ、評価されない。
いくら悪辣なアルゴリズムクラッカーといえども、人気のあるサイトをゼロから生み出すことはできないから、この手法はリンクフ人気のあるサイト、有名なサイトから数多くリンクされたサイトに高い点数が付けられ、グーグルはその点数に従って、検索結果のランキングを並べ替えた。
この技術によって、「グーグルの検索結果ランキングは的確だ」と人々に評価されるようになった。
そして検索エンジンの世界は信頼を取り戻し、アルゴリズムクラッカーに支配された暗黒期からようやく脱出することができたのだった。
新生なった検索エンジンは、とても気持ちの良い道具だった。
自分が求めることばを入力すれば、ほぼ瞬時に自分の求める結果が画面に表示される。
高度な技術力を持ったグーグルに引きずられるようにして他の企業-ヤフーやマイクロソフトなども同様に検索エンジン開発を急ピッチで進め、ますます人々は検索エンジンに依存するようになった。
そして検索エンジンがインターネットの隅々にまで浸透し、人々は単なる情報収集の道具としてだけでなく、先ほども書いたように、「ナビゲーション」としても検索エンジンを使うようになってきたのである。
これが一九九〇年代末から二〇〇三年ごろにかけ、インターネットの世界の中で起きた劇的な変化だった。
人々のインターネットを使う「経路」の中心が、検索エンジンになったのだ。
検索エンジンは、ほとんどのインターネット利用者にとって、ネットを使う「玄関口」となった。
たとえば花を買おうと思っている人は、わざわざ花の関連ホームページを開いて、そこからバナー広告を探してクリックしたり、あるいはヤフーなどのホームページから苦労して花の販売ページを探してクリックするなどという面倒なことはしなくなった。
そんなことをしなくても、単純に検索エンジンに「花」と入力し、検索結果の中からオンラインショッピングできるホームページを調べればすんでしまう。
あるいはもう少し検索エンジンに慣れた人なら、「花」「送料」というふたつのキーワードを入力して検索するだろう。
いずれにせよ、「何をするのにでもまず検索」という人が、目立って増えていったのだった。
この傾向はさまざまな統計によって実証されている。
たとえば前出のネットレイティングスは二〇〇五年十一月、インターネット上における消費行動に関する意識調査結果を発ターネットの検索エンジンが重要な起点となっていることがわかったという。
インターネットで商品やサービスを購入する際、人々が検索エンジンを利用する率は、全体の五〇パーセント以上に上っていた。
とくに旅行商品の購入では八六パーセント、電子機器・家電商品の購入では七四パーセントという圧倒的多数が検索エンジンを利用してショッピングサイトに移動していたのである。
そしてこれも前に書いたように、このドラスティックな変化に気づいた天才、ビル・グロスが、その経路の変化を広告に利用することを思いついたのである。
グロスが最初に考えたのは、「性能の良い検索エンジンだったら、その検索結果に企業はカネを出すかもしれない」ということだった。
人々がインターネットを利用する「経路」そのものに価値があるのではないかということがひらめいたのである。
だから彼は当初、グーグルと同じような優秀な検索エンジンを開発しようと躍起になった。
しかしグロスの会社はグーグルほどの卓越した技術力を持っていなかったから、なかなか技術開発はうまくいかない。
そこでグロスはもう一度考え直し、そしてこんなことを思いついた。
「優秀な検索エンジンを開発するコストを、広告主の企業側に負担させたらどうなるだろう?」その発想から、キーワード広告は生まれた。
前掲の『ザ・サーチ』という本には、グロスのこんなコメントが掲載されている。
キーワードにあるのです」(中略)「たとえば『ダイアナ妃』と検索エンジンに打ち込んだとします。
その時に人はダイアナ妃の店に行きたいのです。
ダイアナ妃に関するすべてのグロスが掘り当てた鉱脈は、インターネットの世界を大きく変えた。
そしてその鉱脈はインターネットだけでなく、世界の経済にさえも大きな影響を与える存在になっていったのである。
最近はキーワード広告による経済が大きくなっていることをとらえ、「サーチエコノミー(検索経済)」という呼び方さえも生まれているほどだ。
キーワード広告の効果がとても高いことは、さまざまなところで実証されている。
たとえば米ウェブサイドストーリー社は二〇〇五年末、さまざまなインターネット広告の効果がどの程度だったのか、を調査した。
その結果、キーワード広告をクリックして広告主のホームページで商品を買ったり、資料請求をした人の率は、バナー広告など他のネット広告の二倍以上の率だったことが明らかになっている。
くふたつの衛星の軌道がたまたまかさなりあうとき、わたしたちはこうして顔を合わせる。
あるいは心を触れ合わせることもできるかもしれない〉さてここまで、たいへんな遠回りをしながら、キーワード広告のことを説明してきた。
キーワード広告とはいったいどのようなもので、それがどのような経済的背景の中から、どのようにして登場してきたのかがわかっていただけただろうか。
ここで再び、山崎夫妻の話に戻ることにしよう。
羽田空港のそばで二〇〇一年に駐車場を開業した山崎宣雄さんと照美さん夫妻は、当初は営業にものすごく苦労した。
大手旅行情報誌に広告を出したものの、やってくる客はごくわずか。
月二回刊の雑誌に二回も広告を出し、月間三十万円も払ったのにもかかわらず、広告効果はほとんどなかった。
しばらくしてようやくわかったのは、他の民間駐車場は大手旅行代理店と提携し、うまく顧客を誘導しているということだった。
つまり旅行代理店がツアー客に渡す航空券などの袋に、駐車場のチラシを同封してもらう。
この広告効果が抜群で、他の広告宣伝や営業活動はいっさい行わなくても、客は水道の水のように流れ込んでくるという構造だったのだ。


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